精神科医療と暴力

 

状況によっては、
私だって誰かを殴りつけるし
服だって脱ぐし
夜中に大声を上げることだってあるだろう。

 

人が、それをしないのは
単純に「状況が」それを許さないからだろうし、

そう考えると
規律とか常識といったものが
いかに人間の取りうる選択に対して暴力的に対立しているかが分かる。

 

暴れだしたい欲求よりも強く、
暴れてはいけないと私達を取り押さえる強制力がある。

無形の有形力とでも呼べそうだが、
僕たちは常にこれの下にある。

 

精神科医療に携わる人間は、

「患者のため」という魔術的な言葉のもと、

患者の腕や体を実際に縛っている。

時には、鎮静薬を静脈注射する。

 

医師がこれを行うときには、

「患者のため」という言葉遊びに沈まず、

多数にとっての規律を優先する立場を自分たちが是認するからだと、

せめて自覚的でいるべきだと思う。